インターネットが普及し、誰もが簡単に情報のやり取りができるようになり、川地図情報については多少は改善されているように思いますが、こと「読み物」となると数えるほどしかなく、慢性的に枯渇した感があります。
そんな中「カヌーライフ」最新刊(年二回発行に減ったって知ってました?)の書籍紹介欄で不意に目にしたのがこの本でした。
焦点を当てているのは、四国三郎吉野川は大峡谷、大歩危小歩危をベースにしたコマーシャルラフティングのガイド、すなわち「リバーガイド」たちのライフスタイルです(タイトルと表紙だけ見るとクリーキングの本と勘違いしそうですが)。
私も院生時代の2年間、夏休み限定ですがこの峡谷にほぼ住み込み、リバーガイドとして過ごしました。この本に登場するガイドたちは私と同世代で、(一方的ですが)知っている人も出てきます。
この2年間はとても充実していて、とくに川下りの技術向上に大いに役立ちました。そしてこのまま住み着いて、多少の不便もなんのその、大好きな自然に囲まれ、大好きな川下りで生計を立てるのも悪くないと少なからず考えました。
最終的にこの道を選ぶことはなく、良くも悪くもフツーのサラリーマンとなる道を選び、そのまま現在に至るわけですが、その道を歩き続けた人たちが何を考え、どのような生活を送っているのかを窺い知るにつけ、今の自分の姿と重ね合わせていました。
彼らリバーガイドがあえて一般企業に就職せず、かような環境下で生活する理由の一つとして、こんな文章が出てきます。
大切なのは、夢中になれる何かを発見し、それに賭けることだと。それが自分以外の人間に意味をなさないことでも関係ない。心が歌いだす何かに出会ったら、それをしっかり捕まえて、離すべきではないということを。
当時の選択が正しかったのかどうか、何とも言えません。仕事は楽しいとは思えませんが、愛すべき妻子と愛犬がいて、ほぼ毎週末川で遊べる現在の環境には感謝しており、間違っていなかったとは言えます。でも一方で、あのとき自分が手離してしまった「夢中になれる何か」に賭けることを選んだ彼らを、憧憬の的として見てしまう気持ちも少なからず存在するという、何だか複雑な気持ちというのが正直なところです。
この記事へのコメント
Takuma
それにラナ父のこの文章も深い。
最近奥さんが下っていないのでひょっとしたらとおもっていたけど
前回の日記で御懐妊と知りました。
おめでとう。
またどこかで!
ラナ父
そういえば先日は長良川でニアミスでしたね。
三段のビーチで会うかと思ってアースシップのラフトをちょこちょこ覗いていたのですが、お会いできず残念でした。
またどこかの川でお会いしましょう。
※コメントに本名出てたので差し替えさせてもらいました
山川
面白かったですね。
今度帰省したときに行ってみようかな。
それにしてもラナ父さん、ああゆう生活してたんですか?
凄いですねえ。
ラナ父
ぜひ一度足を運ばれることをお勧めしますよ。
きっと魅せられると思います。
ちなみ大歩危でラフトガイドする以外の時間は住み込み先の旅館でひたすらこき使われてましたので、下れそうな川を探しに行ったり、地元の人と関わり合いになるといったことはほとんどなかったですね。まあたったの二年というのもありますが、あの本に登場するライフスタイルと比べると密度が全然薄いと思います。